ノートはそこで終わっています。あれからもう６年という月日が流れました。久し振りにノートを開くと、文字は所々ぐちゃぐちゃになっていて、涙で字が滲んでいるところもありました。もちろんノートを開くまでもなく、この出来事は今でもはっきりと頭に焼き付いています。ハルとはお互い社会人となった今でも親友だけど、このことは絶対に話題に出さないようにしています。そして、なにがあってもあの草原には近づかないようにしています。
あのときのメールは怖くてすぐに消してしまったけど、内容は鮮明に覚えています。
「言おうかどうしようか迷ってたんだけど…そらのために言うよ。彼…葉山君ね…実は、３年前に交通事故にあってて…もう会うことはできないはずなんだ…」
そして、３回の呼び出しコールの間、携帯を片手に、泣きながら机の引き出しの一番奥にしまった封筒は、まだその場所に入っています。
怖いけど、冷静に当時のことを振り返ることができているのは、たぶんある程度気持ちの整理ができたからだと思います。数年続いていた悪夢も、ここ最近はみなくなりました。だから…
だからあのときの彼の「言葉」を今から開こうと思います。
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